観音菩薩

観音菩薩は、観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)を略した名前で、
「般若心経はんにゃしんぎょう」では、観自在菩薩(かんじざいぼさつ)
とも呼ばれます。

たいへん私達に馴染み深い菩薩です。

サンスクリット語では、アヴァローキテーシュヴァラといいます。
これを、あの孫悟空で有名な三蔵法師(玄奘げんじょう)は、「観察された」、「自在者」と
解釈して、観自在と音訳されました。

一方で、サンスクリットの「法華経ほけきょう」では、アヴァローキタスヴァラとなっていて、
「観察された」、「音・声」という解釈の観世音もしくは、略して観音が広く浸透しています。

観音菩薩のご利益

観音菩薩は、仏教を求める人が苦しむ時、その声を聞いて守ってくださいます。

そのご利益は、「法華経」の中の「観音経」に詳しく説かれています。
観音経に関しては、こちらの記事をごらんください👇

観音経

さらに、天台宗を開いた、智顗(ちぎ)という人が、七難(しちなん)をまとめました。

  1. 火難ひなん
  2. 水難すいなん
  3. 羅刹難らせつなん ⇒ 悪い鬼による苦しみ
  4. 刀杖難とうじょうなん ⇒ 刀や杖で迫害される苦しみ
  5. 鬼難きなん  ⇒ 死んだ人の霊による苦しみ
  6. 枷鎖難かさなん ⇒ 手錠や鎖でとらわれる苦しみ
  7. 怨賊難おんぞくなん ⇒ 悪人による苦しみ

これら七難から免れることができます。

さらに観音菩薩は、さまざまな姿に変わり現れます。
中でも有名なのが、六道の人々を救う観音菩薩の六観音(ろっかんのん)です。

  • 地獄界 ⇒ 聖観音しょうかんのん(一般的な変化しない観音菩薩)
  • 餓鬼界 ⇒ 千手観音せんじゅかんのん(絶大な力を持つ)
  • 畜生界 ⇒ 馬頭観音ばとうかんのん(めずらしい忿怒ふんぬの顔)
  • 修羅界 ⇒ 十一面観音じゅういちめんかんのん(あらゆる方角が見える)
  • 人間界 ⇒ 不空羂索観音ふくうけんじゃくかんのん(羂索という投げ縄で救う)
  • 天上界 ⇒ 如意輪観音にょいりんかんのん(如意宝珠を持ち、煩悩を破る)

この他にも、三十三観音など本当にさまざまな姿で現世利益を与えてくださいます。

しかし、このような現世利益(欲望)を満たし続けるのは仏教の目的とは違います。
実は観音菩薩は、阿弥陀如来の慈悲の表れです。

かつて阿弥陀如来が出家される前の王様だった頃、たくさんいる子供の長男が出家されたのが観音菩薩です。
つまり、観音菩薩は阿弥陀如来の化身であるということです。

おわりに

ここまで記したように、観音菩薩は阿弥陀如来の慈悲の表れなので、
この世のすべての人を絶対の幸福に必ず救うという阿弥陀仏の願い、
これを勧め、求めようとする人を守る菩薩です。

ですから、阿弥陀仏に救われた人に、阿弥陀仏は無数の観音菩薩をつかわしお守りくださいます。
さらに、阿弥陀仏に救われ極楽浄土へ往生した人は、この世の未だ苦しんでいる人を救うため、
三十三ものさまざまなお姿で現れるのです。

なので、観音菩薩のご利益とは、阿弥陀仏より絶対の幸福に救われ人に訪れます。

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